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いわゆる囚人のジレンマのことが講談社現代新書から出てる高橋昌一郎著「理性の限界/不可能性・不確定性・不完全性」にとても興味深く紹介されていた。囚人のジレンマをもとにしたゲームのことを若干言い回しを変えたりして、自分なりに平易に理解できるようここに引いてみたい。

・一回の対戦は一対一。
・手持ちのカードはひとりにつき二種類を一種類づつ二枚。
・二種類のカードというのは「攻撃」「協調」の二種類。
・一回の対戦で出せるカードは一種類一枚。
・さて得点だが「攻撃」「攻撃」なら双方に1点づつ。
・「協調」「協調」なら双方に3点づつ。
・「攻撃」「協調」なら「攻撃」に5点、「協調」は得点無し!(0点)

さて、複数の人数が複数回このゲームを行うときどんな戦略が有効か、
という話があるわけです。

で、15の異なるコンピュータプログラムに一試合につき200回の対戦を行い、それを総当りで五試合行った結果、どんなプログラムが勝利したかというと、参加中もっとも単純なプログラムだったということに関係者は衝撃をうけたそう。プログラミング言語FORTRAN三行で書かれたそのプログラムとは、どんなものだったのか。

・初回は「協調を出す」
・次回は前回相手が出したカードとおなじカードを出す。
・以下それを繰り返す。

TFTと名づけられたこのプログラムの特徴には以下のものがあるそうで
・上品。どんな相手でも初回は必ず「協調」し、相手が「攻撃」に転じない限りどこまでも「協調」。
・機敏。相手が「攻撃」をすればこちらも即座に「攻撃」に作戦を変更。
・寛容。相手が「攻撃」を仕掛けることがあったとしても、「協調」に転じてくれれば、即座に、自らも「協調」
・単純。相手が自らの戦略に気づけば、相手も相応の戦略を取るはず。すると、更なる協力関係を生むことができる。

で、この初回のコンテストの結果があまりにも衝撃的だったし、考えられるすべての戦略を網羅して戦いが行われたわけでもなかったので、この一回目の試合結果や詳細なプログラムのデータをすべて公開し、第二回の参加プログラムを募ったそう。なので第二回の参加者はこのもっとも単純なTFTの強さを十分理解して臨んだと言える。

たとえば、毎回「攻撃」作戦なら、その作戦に気づいた相手も、毎回「攻撃」をするので、効率がわるい。毎回「協調」作戦だと、それに気づかれた場合、相手は毎回「攻撃」をすることになり、そうすると、相手は5点、自分は0点。

ということなどを考えるにつけ、TFTに弱点がないわけではない。相手の行動に反応しないプログラムと対戦したら、高得点を上げづらい。たとえば、毎回「協調」作戦のプログラムには、毎回「攻撃」が一番効率がいいのに、TFTはその効率の良さに、たどりつけない。

さて、第二回目は政治学、経済学、心理学、社会学に加えて、情報工学、数学、物理学、生物学などの多彩な分野から62のプログラムが集まったそう。中には相手の行動に対して統計的パターンを作って更新し、相手の戦略を推定し、それに応じて次回の相手の行動を予測し、それを上回る戦略を採るという複雑なプログラムもあったにかかわらず、二回目の優勝もやはりTFTだったという話は、面白かった。

なんでこんな話をしたのかというと、歌人荻原裕幸さんのブログを通して短歌自動生成スクリプト「星野しずる」を知って、また、その作者の佐々木あらら氏のインタビューが掲載された雑誌「回遊」を読んで、この囚人のジレンマとTFTプログラムのことに思いを馳せたからである。

「回遊」のインタビューに答えて佐々木氏は、

>(前略)
>誰かが新しく「星野しずる」をヴァージョンアップしたようなものを、
>また新しい何かを作ることで、未来が開けてくるといくことはあるでしょう。
>(中略)
> だから、言語と文学の知識を持つ人と技術者が組んだら、一段と発展するんじゃ
>ないかな、ともおもいますね。そういう発展をした後に、「昔、『星野しずる』って
>いうのがあってね」という話が生まれたら嬉しいですね。
>(後略)

と語る。

自分は、そういうことで開けてくる未来や、一段とした発展にまったく想像が及ばない。なぜなら、星野しずるは自動生成スクリプト文学界最強のTFTプログラムといっても過言ではないと、思うからだ。

また、トラックバックを失敗するかもしれないので。

歌人荻原裕幸さんのブログ↓
http://ogihara.cocolog-nifty.com/biscuit/2009/10/20091013-9778.html

「星野しずる」のページ↓
http://www17.atpages.jp/sasakiarara/sizzle/

追記:またしても。

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わからん。